2013年04月15日

憲法と歴史的仮名遣い

先日、和歌山憲法研究会創立1周年記念講演会として、日本大学法学部教授の百地章先生を講師にお招きし 「憲法改正を目指して ~課題と展望~」 と題したご講演をいただきました。

昨年2月11日に発会し、わずか5名で活動を続けていますが、当日は70名もの方にお集まりいただきました。ありがとうございます。

現行憲法の不備や、これからつくるべき憲法の内容などについては徐々に勉強してきていますが、新しくつくるべき憲法の表記について考えさせられた記事がありましたので紹介します。

国語は今も危機にある(四)
なぜ「歴史的かなづかひ」なのか
(神社新報 平成25年4月15日発行 第3160号)


≪前略≫
 S氏は、現行憲法の廃憲を唱へつつ、それが「歴史的かなづかひ」で書かれてゐることに触れ、新憲法も「歴史的かなづかひ」の文語文で書かれるべきだと主張して次のやうに言ふ。「なによりも私が問題だと思うのは、かなづかいなのである。現行憲法と現代かなづかいは、敗戦後の占領下で日本の伝統と文化に対して行われた破壊行為の最たるものであった。(途中省略)しかし、憲法は、いわば日本の正統の表現としての『歴史的かなづかひ』で表記されていなければならない。でなければ、日本は言葉に何の規範もない国になってしまう。言葉に規範がなくなれば、文化も精神も道徳もすべて崩壊し、やがて基軸をなくした国家も亡ぶことになるであろう」と。≪後略≫
 かつての文藝評論家の酒井隆之氏は「新カナの使用を見逃しながら伝統文化の擁護を謳ひ、国語への愛情を啓蒙し、或いは戦後憲法の虚偽を論ふ為には、何処かで姑息な現実との取引きに応じなければ不可能だ。さういふ現実的渡世の為の微細な嘘を積み重ねることが、やがて国を傷める因となる。(途中省略)憲法改正と違ひ、かなづかひの保守は、たつた一人、しかも筆一管でできる愛国運動である筈だ」と書いた。(平成十五年二月『正論』)
 また、同署で私の最も尊敬する小堀桂一郎先生は、「『正しさ』の喪失―倫理問題としての国語表記問題」と題し、戦後の漢字制限と現代仮名遣表記について「一言で言へば、以後日本人が『正しさ』を捨てて『便利さ』を取る、といふ重大な価値観の顚倒を公言したことになる。(途中省略)『正しさ』に対する畏敬の念が崩れさつた空間に於いて、真理の探究を使命とする学問がまともに育つ道理はない。正しい国語表記を尊重する念の欠けた徒輩に学問を論ずる資格無し。大学教官として現役であつた時代の私はこのことを口でも筆でも公言して、ずゐ分同業者達から憎まれ、嫌はれた様である。しかし私にしてみれば同業者達の誹謗など恐くとも何ともない。私が恐れるのはただこの国の杜に漂ふ言霊の怒りと祟りのみである」と書かれたのであつた。

 S氏の言ふやうに「現代仮名遣」が定着してしまつた現代においては『歴史的ななづひ』に戻すことは確かに難しいことかも知れぬ。だからと言つて私は諦めることをしない。私も「言霊の怒りと祟り」を恐れるからであり、「たつた一人、筆一管でできる愛国運動」を実践したいからである。たとひそれが「蟷螂の斧」に過ぎぬとも、マテオの正しい価値に対する頑固さに見倣ひたいと思つてゐる。仮名づかひは、「現代仮名遣」か「歴史的かなづかひ」かの二者択一の問題ではなく。祖国の文化防衛の問題だからである。
國語問題協議會評議員 土屋秀宇



「神社新報」の記事を抜粋する際に、現代仮名遣いに改めて転載することが多いのですが、今回は内容が内容だけに原文ママで掲載させていただきました。

さて、私も日常的には現代仮名遣いを用いています。「日常的には」なんて書くと、時には歴史的仮名遣いで文章を書くように聞こえますが、実際のところ祝詞を書くとき程度です。祝詞作文が歴史的仮名遣いなのかと言われると微妙な気もしますが・・・。
言い訳がましく言わせていただけば、ワープロ全盛のこのご時世、歴史的仮名遣いを正しく変換してくれる日本語入力ソフト(MS-IMEやATOKなどのIMEソフト)が存在しないからです。
パソコンを用いて文章を作成する、メールを書く、そういった中で、いちいち歴史的仮名遣いに直してゆくのは大変な手間です。どこかのメーカーで歴史的仮名遣い対応のソフトを発売してくれないものでしょうか。
もうひとつ言うならば、インターネットサイトを構築する際はサーチエンジンの検索にヒットさせるためには歴史的仮名遣いでは弱いという点も挙げられます。このあたりは歴史的仮名遣いが一般的になれば解消される問題ではありますが・・・。

言い訳はここまでにして、ちょっと本気で歴史的仮名遣いを勉強しなくてはいけませんね。今までやらなくては思いながら後回しにしてきましたが・・・。
そういえば、過日ご講演頂いた百地先生からの手書きFAXは歴史的仮名遣いでした。猛省。
(そもそも「歴史的仮名遣ひ」「現代仮名遣い」という名称も不適切に思えてきました・・・)



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この記事へのコメント
初めまして。
IMEについてちょっと不可解です。
現今「IME 歴史的仮名遣い」などで検索すればあっという間ですよ。
Posted by お節介 at 2013年04月17日 16:17
お節介様
調べたのがちょっと昔のことで、それ以降検索しておりませんでしたが、確かにいくつかあるみたいですね。
有難うございます。使い勝手のよさそうなものを探してみます。
Posted by 木霊木霊 at 2013年04月17日 17:55
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