2018年04月30日

アベガー、アベガー

4月8日に松山刑務所から逃走した平尾容疑者が逮捕されたとの報がありました。

愛媛県の松山刑務所から逃走し、瀬戸内海の向島に潜伏しているとされ、警察は何度も山狩りをして捜索しましたが発見できませんでした。
警察は当該に出た形跡がないとして捜索を続けていましたが、逮捕されたのは広島市南区。向島から直線距離で65kmも離れているということです。

逃走中のニュースでは「治安が・・・」とか「危険で夜も眠れない・・・」などの報道もありましたが、平尾容疑者は窃盗犯であり、また収監中は模範囚であったとのことですので、これらの報道には私は少し違和感を持っていました。
逃走したのが連続殺人犯とか無差別殺人班とかであれば、報道のコメントも分かるのですが・・・・。
(実際に逃走にあたって窃盗もおこしているようなので、全く治安に問題がなかった訳ではありませんが、ニュースの意図はたぶん違うので・・・)

さて、平尾容疑者の身柄を拘束した報に対して、SNSでもいろんなコメントが流れていましたが、やはり中には意味不明なものがありました。

結局、島にはいなかったってこと。
島にいる!とずっと探してた適当さの責任は誰がとるの?

そもそも、松山刑務所だっけ?
塀のないところ。
塀のない刑務所を長年受け入れてきた住民の責任、刑務所は刑務所として、分厚く、背の高い塀を作ってこなかった今までの法務大臣や法務省、自民、公明、民主の過去と今の政府、自治体の責任やろ。
コレも安倍晋三の政権で起きてる。

刑務所はしょせん刑務所。
塀は必要。
塀のない刑務所なら、わざわざ実刑にする必要もない。
実刑は塀のある社会と完全隔離されたところで刑が執行されるから刑務所やろ。
そんな刑務所になんて、塀の中になんて行きたくない!として犯罪の抑止にもなってる。


前段はわかります。私もそう思います。
島からは出ていないと山狩りを何度も行って、結局の所島からは出ていたというのは、警察の捜査能力が疑われます。
これは大きな問題だと思います。

しかし中段はおかしいですね。
調べてみると松山刑務所というのは古くからあったようです。現在の「大井造船作業場」が開設されたのは昭和36年のことのようです。
その後、昭和47年に刑務所の敷地が移転したり、平成15年に増築されたりしています。
したがって

「分厚く、背の高い塀を作ってこなかった今までの法務大臣や法務省、自民、公明、民主の過去と今の政府、自治体の責任」

という意見はわかりますが、「安倍晋三の政権で起き」たことではありません。
なんでも 「アベガー、アベガー」というのはやめましょう。

そして後段ですが、なぜ塀のない刑務所が存在するのかということです。
刑務所は基本的には刑を執行する場所として存在しますが、社会復帰のための支援をする施設という側面を併せ持つ刑務所もあります。
松山刑務所大井造船作業場は社会復帰支援色の極めて強い施設であり、日本で唯一の塀のない刑務所として知られています。
ここでの受刑者の生活は、非常に厳しい規律での生活であり、些細なミスでも厳しい指導を受けるようです。睡眠時以外は高い緊張感を持った生活を強いられるため、本所に戻ることを希望したり、また喫煙や飲酒などの規則違反によって本所に移送される受刑者もいるそうです。
これだけ厳しい環境での生活を送るため、出所後の再犯率は非常に低いという特徴があるようです。また仮釈放が早くなり、刑期が短くなるという利点もあるそうです。

「刑務所になんて、塀の中になんて行きたくない!として犯罪の抑止にもなってる」

というのは、御説ご尤もでありますが、一度でも犯罪を犯した人間を認めないというのもいかがなものであろうかと、難しい問題です。

開放型刑務所の存在意義については「なるほど」とは思いますが、しかし開所以来、平成30年4月までに17件20人の逃走事案があったというのは大きな問題だと思います。この点については、しっかりと改善や見直しが必要ではないでしょうか。