2013年02月01日

キティちゃん神社ってありや?なしや?

 サンリオの人気キャラクター キティちゃん の像を祠に納めた ”神社” が登場したそうです。

キティちゃん神社:甲府に登場 除幕式に100人が参加 
毎日新聞 2013年01月28日 19時00分(最終更新 01月28日 19時14分)

 猫のキャラクター「ハローキティ」の石像(体長25センチ、重さ9キロ)をまつる「キティちゃん神社」が、甲府市中央1の通称「甲府銀座通り」の入り口付近に完成。27日の除幕式には約100人が参加した。

 ハローキティなどの人気グッズを取り扱う「サンリオ」(本社・東京)の辻信太郎社長は同市出身。甲府商店街連盟が若者客を増やそうと企画し、ヒノキなどを使い約3カ月かけて制作した。

 神社にタイ焼きをお供えした商店街の関係者は「観光客誘致の役目を立派に背負ってもらいたい」。商店街活性化に猫の手も借りたいようで「パン、パン」としっかりと手を合わせていた。【藤河匠】

http://mainichi.jp/select/news/20130129k0000m040026000c.html

 先日、サンリオのキャラクター、キティちゃんの石像を祠に納めた 「キティちゃん神社」 なるものが登場したと、ニュースがありました。この”神社”は、甲府市の商店街が集客の話題となるように設置したとのことですが、サンリオの使用許諾を受けていなかったということで、僅か2日で撤去になったようです。

 キャラクターや有名人などをあしらった ”神社” というのはしばしば登場します。ビリケン神社や、横浜ベイスターズが優勝した時の立役者 佐々木投手 の大魔神社などを思い浮かべます。
 また、受験シーズンには合格のごろ合わせ商品を並べて スーパーなどに”神社”が登場することもあります。
 
 これらの ”神社” が、実際に祭祀が行われる きちっとした神社 とは一線を画するものだと、多くの方は承知していると思いますが、しかし手を合わせ、時にはお賽銭まで納めるという非常に興味深い事実があります。

 こういう ”神社” の存在は、「けしからん!」と息巻く方もいらっしゃいます。特に私たちの立場では多いです。
 私は 「けしからん!」 とまで否定はしませんが、諸手を挙げて称賛できるものではないとも思います。
 しかし、こうやって ”神社” ができることに、日本人の信仰心に関して非常に興味深い点がたくさんあるのです。

 まず、こういったものは大抵 ”神社” であることです。決して ”お寺” とか ”教会・礼拝堂” でなないのです。
 よくよく考えてみると、多くの神社では 具体的な像を見て拝礼することはありません。ほぼすべての神社で、いわゆる御神体と呼ばれる手を合わせる対象は本殿に納められ、扉も通常は閉められています。しかも、一般に拝礼する場所は本殿の前ではなく、その手前に建てられた拝殿の手前から拝礼します。また、御神体はいったい何であるのか明らかにされていない神社の方が多いと思います。伊勢の神宮の八咫の鏡や、熱田神宮の草薙の剣は有名ですが、これらを直接目にしてお参りすることは絶対にありえないのです。
 例外を挙げるとすれば、奈良の大神神社などがあります。大神神社の御神体は三輪山ですから直接目にしてお参りすることができます。他にも熊野那智大社の飛瀧神社の御神体は那智の滝です。山や瀧、巨岩・巨木を御神体として祀る神社は全国にありますから、こういった神社では御神体を目にすることができるかもしれませんが、しかし 像 の形態をしている例はないのではないでしょうか?

 一方、お寺では仏像を目の前にお参りをします。中には秘仏として特定の日(時には数年、数十年に一度)のみ参詣者が目にしてお参りできる仏像もありますが、手を合わせる対象が 像 であり、しかも大抵目に触れることが可能であるのがお寺です。
 キリスト教の教会も似たようなものなんでしょうか?こちらは勉強不足でよくわかりませんが・・・。

 長々と記しましたが、つまり キティちゃん神社 のような形態は、神社というよりはお寺に近いのですが、なぜか大抵 ”神社” としてつくられる点に非常に興味を覚えます。

 この神社の存在については否定的な意見を多く見受けられます。私もどちらかといえは否定的ですが、そんなに躍起になるほど否定しなくても良いのではないかという立場です。というよりは、やりたければやれば・・・といったところでしょうか。
 我々神職はもとより、多くの一般の方も キティちゃん神社 が、いわゆる日々祭祀が行われ地域に根差した神社とは一線を画した ”お遊びの存在” であると認識されているでしょう。そういう状況であれば、私は容認範囲かなと感じています。

 容認範囲とは書きましたが、積極的賛同でないのは勿論、消極的賛同もしていません。そして ”神社” として祀るのであれば、それ相応の祭祀を行うなり、日常的にお供えをするなりということを伴わなう必要も出てくると思います。さらに、何らかの事情で ”撤去” するにあたっては、もちろんそれ相応の祭祀が必要になってくる。ここまでちゃんと覚悟をして取り組まれて、私としてはまぁまぁ認められる(消極的容認の前段階)範疇に入ってくるかと。それだけ、”神社” や ”お寺” など信仰や拝礼の対象となるものを設けるというのは大変なことなんだという認識をちゃんと持たなくてはいけないということです。

 否定的考えを持つ方の中には、「法令などで規制できないか」という方もいらっしゃるようですが、こんなものはいくら法令などで規制してもダメでしょう。信仰とはなんなのか、”神社”や”お寺”を(それを模して手を合わせる対象とすること)はどういうことかを、多くの人にちゃんと理解してもらうことが必要だと思います。こういったことは、我々神職をはじめ、僧侶や牧師・神父など各宗教に携わる人間の役割だと思います。


 ところでキティちゃん神社 の存在についてどうこう言う間もなく、たった2日で撤去となるようです。
 理由は以下の記事のように、サンリオの使用許諾を得ていなかったことだそうです。

<キティちゃん神社>お披露目2日で石像撤去 使用許諾な
毎日新聞 1月30日(水)7時42分配信

 甲府市の商店街で27日に除幕された「キティちゃん神社」にまつられた「ハローキティ」の石像が29日、撤去された。キャラクターを扱う「サンリオ」(本社・東京)の使用許諾を受けていないことが判明したため。お披露目からわずか2日後の撤去に、設置した甲府商店街連盟関係者は反省しきりだった。

 同連盟によると、サンリオの辻信太郎社長が同市出身ということもあり、若者客を増やそうと同市中央1の「甲府銀座通り」入り口に設置。ヒノキなどでほこらを作り、市販の石像を置いてさい銭箱も設け、27日には約100人が参加して除幕式も行った。しかし、報道で知ったサンリオ側から抗議と撤去の要請があったという。

 同連盟の長坂善雄会長は「サンリオはじめ関係者や楽しみにしてくれた人に申し訳ない」と陳謝。今後、再設置できるかは未定という。【藤河匠】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130130-00000013-mai-soci&1359504915


 今後も、同様のことは発生するともいますが、安易な気持ちで設けた神社というのは、なんら意味がないのはもちろんのこと、時と場合によっては害が発生する可能性もあるということのみ記しておきたいと思います。



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