2013年01月28日

外宮先祭 (お伊勢さんのお参りの順序について)

外宮先祭 げくうせんさい
一般には聞きなれない言葉だと思います。神職の中でも知らない方も結構いらっしゃるかもしれません。

外宮先祭とは、伊勢の神宮の諸祭事はまず豊受大神宮(外宮)を先に行い、続いて皇大神宮(内宮)を行いなさいという意味です。
これが根拠となっているのか、最近 「外宮からお参りするのが正しい順番です」 と記された出版物や看板を見かけます。

昨年、とある団体の行事で伊勢参宮をすることになり、私が唯一神職であることから行程などについて問い合わせをいただきました。いろんな要素から考えて内宮参拝→神楽→昼食→外宮参拝という手順がよさそうだったので提案したところ、「外宮からお参りするのが正しい手順って書いてあるのに、神主さんが順番逆にして良いの?」と言われてしまいました。
宮川を渡って神域に入ると、地理的に外宮を先にお参りするのが必然となっていただけであることや、神宮にとって最も重要な式年遷宮の諸祭は内宮から行われることなどを説明しましたが、最終的に先方の原案通り、外宮→内宮という参拝順序になりました。

外宮を先にお参りすることにこだわるのであれば、内宮だけの参拝というのはあり得ないこととなるのですが、神宮の参拝者数は圧倒的に内宮の方が多いというのが実情です。
確かに、過去には豊受大神を奉斎する渡会氏の顕著な活動で、圧倒的に外宮参拝が多かった時期もありますが・・・。
それにしても、神宮さんがそんな主張をしているのであろうか?
もしそうであるならば、外宮参拝者増強策ということなんだろうか??
と、少しモヤモヤした気持ちを抱えておりました。

ところが、1月28日付 『神社新報』 には、「外宮からお参りしましょう」 ということについての 神宮司庁の見解 が掲載されていました。以下に一部を抜粋します。

 最近では、「外宮から参拝するのが正式な参拝順序です」と記されている旅行誌やパンフレットも多々見られるが、「正式な」というところに少々問題があり、神宮司庁広報室では校正の段階で「古くからの」と言い換えていただくようにしている。
 (中略)外宮鎮座以来、欠かすことなくおこなわれる日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)の神饌奉奠や祝詞、神宮最大の神事である式年遷宮の諸祭も、内宮が先に斎行される。この基準で考えると外宮を先に参拝することに疑問が生じる。
 外宮が先、という事例は恒例祭典に見られ、恒例祭典で一番重要な神嘗祭は古くから外宮が先に奉仕される。「外宮先祭」という言葉もあり、現在でも恒例祭典は外宮からである。(中略)
 伊勢街道を神宮へと進むと、外宮が先になるのは自然の成り行きでもある。現在も皇族方の御参拝をはじめ、多くの公式な参拝は外宮、内宮の順で行われる。(後略)
(平成25年1月28日付 神社新報 :原文歴史的仮名遣い)


なるほど。神宮としても 「正式な」 という点については、少々お困りのようですね。
しかし、こういった風に 神宮参拝の順序 といったことまで触れられるほど、伊勢参宮に関して一般の関心が高くなっているというのは、喜ばしいことでもあります。

今夏にはお白石持ち行事が行われ、いよいよ遷御の準備が整います。
そして秋には、大神様が新宮にお遷りになられる御遷宮最大の行事 遷御 が行われます。

是非、日本人の心の故郷 伊勢 にお参りいただきたいと思います。
参拝の順序は 外宮→内宮 に強くこだわらずとも結構です。でもできる限り 内宮だけとか外宮だけというお参りでなく、両宮お参りいただきたいと思います。



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Posted by 木霊 at 13:35│Comments(0)伝統・文化
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