2013年03月19日
江戸しぐさ
以前、友人から 「江戸しぐさ」 というものについて聞いたことがある。
雨の日にすれ違う時の 「傘かしげ」 (相手と反対側に傘を傾けることでお互い通りやすくすると同時に相手が濡れないように気をかける) とか、人混みで足を踏んだ・踏まれた時の 「うかつあやまり」(踏んだ方は勿論だが、踏まれた方も相手の邪魔になるような足の出し方をしていたから踏ませてしまったとお互いが謝る) など、お互いを思いやる心から生まれた作法ということであった。
さて、このブログでしばしば引用させてもらっている 『神社新報』 にこの江戸しぐさについて記されていたので、転載して紹介したい。
昨今問題となっているモンスターペアレンツなども、自己主張の過ぎたるは・・・ではなかろうか。
雨の日にすれ違う時の 「傘かしげ」 (相手と反対側に傘を傾けることでお互い通りやすくすると同時に相手が濡れないように気をかける) とか、人混みで足を踏んだ・踏まれた時の 「うかつあやまり」(踏んだ方は勿論だが、踏まれた方も相手の邪魔になるような足の出し方をしていたから踏ませてしまったとお互いが謝る) など、お互いを思いやる心から生まれた作法ということであった。
さて、このブログでしばしば引用させてもらっている 『神社新報』 にこの江戸しぐさについて記されていたので、転載して紹介したい。
七三の道 神崎宣武
「七三の道」とう言葉がある。いや、あった、というべきか。
道を歩くときは、七割が公道、三割が自分の道、と心得て、他の通行人の邪魔にならないよう配慮する。とくに江戸しぐさでのたしなみで、横に並んで道を塞いで歩くことは、江戸っ子の間では野暮とされた。
江戸しぐさとは、ほとんど忽然と生じた巨大都市江戸で、二百六十余藩から出てきた人びとの間でのいさかいを未然に防ぐためのマナー、といってよかろう。「うかつあやまり」(互いに、うっかりしていてごめんなさい、と謝りあう)、「傘かしげ」(相手と反対側に傘をかしげて、相手が濡れないで通れるようにする心遣い)、「陽にとらえる」(欠点や失敗に過剰に反応せず、楽観的にとらえる)なども、江戸しぐさである。
いさかいを未然に防ぐためのマナー、といえば、現代社会にも通用することに相違ない。なのに、一般にはなぜか忘れられてしまったように思える。
(中略)
思えば、とくに戦後の学校教育で、自己主張を是とする風潮が強まった。それば、民主主義にも基づいたことで、一概に否定はできない。しかし、「過ぎたる」は何とやら。譲りあい、お互いさま、の精神が後退したように思える。そればかりか、自己主張が不得手な子供たちがはぐれて、いぢめの対象にもなっているのではないだろうか。
「七三の道」とは、公道の通行にだけあてはまるのではない。公的な場での対人法でもあるのだ。お互いに、自分のことは三分ぐらいとする心得で、うまく納まることが多いはずなのである。
当初は、現在の東京よりもさらに混沌としていたと推測される、いうなれば多国籍都市だった江戸。そこで生まれた江戸しぐさから学ぶことは多い。
(民俗学者、岡山・宇佐八幡神社宮司)
(「神社新報」第3157号(平成24年3月18日号)より転載:原文歴史的仮名遣い
昨今問題となっているモンスターペアレンツなども、自己主張の過ぎたるは・・・ではなかろうか。
Posted by 木霊 at 13:31│Comments(0)
│伝統・文化