2016年12月06日

御神札を家庭に祀ること

皆さんのご家庭には神棚はありますか?
もしくは、神棚までは設けていなくても御神札をお祀りしていますか?

12月に入り、そろそろ来年の新しい御神札を準備されている方も居るのではないでしょうか?
伊太祁曽神社では11月23日の新嘗祭にあわせて大麻頒布始祭を執り行い、各地区の氏子総代に地区を代表して神宮大麻(お伊勢さんの御神札)と伊太祁曽神社剣先札をお頒ち致しました。
氏子の皆様には氏子総代を通じて、各家庭に届けられることになっています。
また、崇敬会の会員の皆様には伊太祁曽神社紙神札を12月の社報と併せて郵送しています。

近年は家庭に神棚を設けない、御神札を祀らない家庭が増えていると聞きます。
確かに氏子地区内については総代より頒布する御神札の体数を減らしてほしいという話をしばしば聞きます。
実際に戸数が減っている地区もありますから、その地区については御神札の減体は仕方がないことと思います。
問題は戸数が増えているのに御神札が増えない、戸数に変化がないのに御神札が減ってゆくことです。

この傾向は何も当社に限ったことではなく全国的に見られる傾向で、各神社で神宮大麻とそれぞれの御神札を奉斎する家庭を増やすように努力をしている話をしばしば耳にします。
その取り組の中で、常々私が疑問に感じているのは御神札を祀ってもらえるように 「簡易神棚」 を配布するというものです。
確かに御神札を奉斎しない方々の中には、祀り方がわからない、家に神棚が無いという理由を挙げる方がいます。
そういった方々に ”簡易”神棚 を無料で配り、御神札を祀る手始めにしようというのが取り組みの主旨だと思うのですが、どうにも ”簡易” というところが氣に入らないのです。
簡易神棚の存在を真っ向から否定するという意味ではなく、少なくとも御神札をきちっと祀ることを勧めるべき神社が、自ら 「 ”簡易” の神棚でも結構ですよ」 と言ってしまうことは、果たして良いのだろうかと思うのです。

御神札の頒布増体はそれ自体が目的ではなく、家庭祭祀の場をきちっと設けることで敬神崇祖の念を持ち、またはそれをしっかりと養ってゆくことが目的と思います。
このことは、つまりは日本に古来から伝わる伝統を大切にし、また地域に伝わる文化を継承することに繋がってゆくと考えます。

したがって、御神札を祀る意義をきちっと伝え理解してもらうことは、自然ときちっとした神祭りの意識に繋がり、つまりは ”簡易” ではない神棚に御神札を祀るという考え方になってゆくと思うのです。
神社が ”簡易神棚” を奨励するということは、「神祭りは簡素に行ってもよろしい」 とお墨付きを与えているように、私には感じられます。

こういった考え方から、伊太祁曽神社には、所謂 ”簡易神棚” や お札フォルダー と呼ばれるような頒布品は一切置いておりません。
極稀にそのようなモノがないか問い合わせがありますが、その際はきちっとした神棚を準備されることをお薦めしています。


常々、上記のようなことを考えておりました所、今回の神社新報には「神札を祀る意義の確認を」という論説があり、ほぼ私の考えに近いことが記されておりました。
神社新報より、一部を抜粋して転載します。

しかしながら、宮型・神棚等を増頒布のための手段として位置づけるのは、少し目的が違ふはずだ。もちろん神棚・宮型等によって各家庭に祭祀の場が設けられることで、結果として神札の増頒布に結びつき、その後の神宮・神社に対する真摯な崇敬へと向かふ可能性もある。ただし本来は、まづ信仰を広めるやうな営為こそが必要であらう。さらには仏壇を設けて先祖の位牌を祀ってゐる家庭に対しても祖霊祭祀の大切さを説くなど、より積極的に敬神崇祖の念の涵養を図るやうな取組みが大切なのである。
(中略)
さうした重層的な信仰の存在を認識し、さらには祖霊祭祀を含めた有機的な信仰の繋がりを啓発することにより、神宮・神社や神々に対する崇敬の念はいよいよ昂るといへる。しかし例へば、神宮大麻の増頒布に熱心になるあまり、氏神神社や崇敬神社に対する信仰との繋がりを見過ごすやうなことがあれば、地域において連綿と受け継がれてきたこれまでの信仰とは乖離してしまふことにもなりかねない。


我々神職はもとより、御神札頒布に携わる氏子総代や世話役の皆様にもしっかりと心に刻んで置くべきことかと思います。



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