2018年05月02日

神社の参道の中央を歩いてはいけないのか?

ここ数年、神社での参拝作法などをテレビや雑誌などで取り上げてくれています。
一時期に比べると、手水をきちっと取ってから参拝する人が増えたようにも思います。

ところで、神社での参拝作法を説明する一連の流れの中で、「参道の中心は神様の通り道だから通ってはならない」というのがあります。
確かにもっともらしく聞こえるので実践している参拝者も多くいらっしゃいますし、同行者が参道の中心を歩いていると注意している人もしばしば目にします。
一方で、我々神職は祭典での参進などでは参道の中心(正確には少しだけ中心を外すのですが)を歩きます。

参道の中心を歩くことについては興味深い資料があります。
江戸時代前期に編集されたとされる 『神拝式類集』 という書物に次にような文章があるそうです。
凡参道歩行於中央事、可有思慮

およそ参道の中央を歩行するのこと、思慮あるべし とでも読むのでしょうか。
「参道の中央を歩くときは慎みの心を持ちなさい」という意味であろうと解釈されています。

この書は参宮の次第について纏めたものとのことで、つまりは神職ではなく一般に向けたものということになります。
したがって、江戸時代前期頃においては 「参道の中央を歩くべきではない」 ということにはなっていないのですね。

これは非常に興味深いことです。