2012年11月13日

七五三 私考

11月15日は七五三のお祝いの日です。この日に定まったのは江戸時代、5代将軍綱吉公の頃とも言われます。
しかし、北の地域では10月に行われることも珍しくなく、また学校や親の仕事の都合などで10月から12月の間に参拝する傾向が広がっているようです。

個人的には11月15日でなくとも、家族が揃ってお参りできるのであれば、その近辺の日取りを選んで参拝されるので良いと思います。
しかし、七五三のお祝いの意味はちゃんと理解をしておいて頂きたく思います。
最近はマニュアル社会というか、HowTo本の影響と言うのか、形にとらわれて本質を忘れてしまっていることが多く見受けられますが、七五三にもその傾向があるのかなと感じています。

七五三は数え年で7歳、5歳、3歳に祝うことからこの呼び名がありますが、それぞれのお祝いは意味が異なります。
3歳は「髪置き」といい、髪を伸ばし始めるお祝い。
5歳は「袴着」といい、初めて袴を着けるお祝い。
7歳は「帯解き」といい、大人同様の本仕立ての着物に着初めるお祝い。

さて、神社へ七五三のお詣りに来られるということは、それぞれの年齢のお祝いを神様に奉告し、これまでの無事な成長を感謝する意味があります。
そして、御神前へと進むのですから晴着を着てくるのです。特に、5歳、7歳のお祝いは着る物がそれまでとは異なり大人と同じようになるという意味もありますから、やはり男児は羽織袴姿、女児は着物姿が相応しいかと思います。
伊太祁曽神社でも 「洋装ではダメですか?」 と時々問合せを頂き、それについては 「神前に進むに相応しい格好であれば和装洋装は問いませんよ」 とはお答えしますが、お祝いの本来の意味からするとやはり和装が相応しいと思われます。

そして、その絵柄図柄などは、男児は逞しく育つようにと凛々しく気品を持つ鷹や龍など、女児は優しく美しく育つようにとお花や吉祥文を身につけたりします。これらの着物は、祖父母から贈られるのが習慣でしたが、最近では貸衣装が随分と増えているようです。貸衣装自体は否定しませんが、着物の柄などはやはりよく選んだほうがよいと思う場合がしばしば見られます。
最近の衣装屋さんには、スタッフが着物の基本をご存じない方がおられ、珍妙なものを時折見受けます。
当社では見かけたことはありませんが、髑髏模様の配された羽織を着た男児や、まるで遊女のような着付けをされた女児などがあるとか・・・。


昔は、「子供は地域の宝」 と言われ、今日でも変わりはないかと思いますが、取り巻く環境は大きく変化してしまっています。
核家族化が進み、近所付き合いが減り、都市部の集合住宅では「隣は何をする人ぞ」というご時勢からか、なかなか他人と距離を置く傾向が多いようです。
それでも小さな子供を持つ親同士は、比較的お互いに声を掛け合い、気を使いあってお参りされているように見受けられるのでまだ大丈夫かなと思いますが、都市部の神社ではそうでもないようなお話も聞こえてきます。

そういった意味でも、11月15日に強くとらわれるのではなく、子供の両親は勿論、祖父母なども揃ってお参りいただける日程を選んで、皆で参拝されることをなるべくお勧めしたいと思うのです。

ちなみに、伊太祁曽神社では11月末日までは七五三のお守り・お土産の他に、甘酒や記念写真の準備をしてお待ちしています。  
タグ :七五三写真


Posted by 木霊 at 10:42Comments(0)伝統・文化